マガジンX紙は、私の愛読書、もう創刊号から20数年以上は欠かさず購読している。
この雑誌の特徴は、自動車メーカーおよび自動車産業から一切広告を頂いていない点だ。
だから薄い。怪しげな通販製品だったり、自動車メーカーには何ら誘導されていない唯一の自動車雑誌だ。
だからこそ、売る為の提灯記事や企画がない。
日本で唯一の動画雑誌だったベストモータリングも当初は、メーカー寄りではない、あり得ないサーキットで市販車を限界テスト、レースをさせ、雑誌等やカタログでは見えない総合性能が視覚で確認できた。
随分、販売に左右したと思う。ところが提灯記事を書いている雑誌社との連携やらデモ用車両の提供など。どんどん自動車メーカー支配が及んでいったと想像する。
これでは、儲け優先な巨大メーカーよりの広報動画でしかなく、末期ではGT−Rやらランエボなどその特殊な車ばかりがサーキットで戦うというつまらない物になり下がっていった。
メーカーが作る広報用ビデオでしかなく、プロのレーシングドライバーが見る正直な感想が薄く、ユーザーも雑誌よりも動画でヤラセな雰囲気を感じやすく、急速に冷めて行った。
海外では、トップギヤーという英国BBC放送の番組が日本でも人気だ。この番組は、自動車メーカー寄りの思想が全くない。ドイツ車だろうが、日本車だろうが、MCの主観で発言している。偏りはもちろんあるが、それはMCが3名でそれぞれ性格がわかりやすく、彼ならそう言うだろうと想像がつく。
若者の自動車離れとか、スポーツ的な車が売れないとか言われるが、それも自動車メーカーが作りだしたものだと思う。設計・開発者は当然だが自動車が好きで、メーカーに入り、自らが乗りたい車を描き、開発したいと思う。しかし、これだけインフラが発達し、携帯電話やネット網があればいちいち移動するよりも、通信で用事を済ませてしまうのが普通ではないだろうか?電車の方が安くて便利だ。自動車事故により年間1万人が即死していた時代は、楽しい自動車の反面、一瞬にして人生を狂わす恐ろしい物であることも十分に浸透していると思う。
カタログに書いてある高性能を自ら所有したならばその性能を引き出したいと思うのも人情だろう。
しかし、事故により他人に迷惑を掛けたり、警察に違反切符を切られる事を考えると、そんな性能はいらないと言うことではないか?
つまりは車好きが作る車は、反社会性が強くなる傾向であり、インフラ整備が整いつつある日本では、自動車の利用価値も変わっていると言える。
1人で移動するならば、軽自動車で十分だ。500kmも移動するなら、LCCが盛んな飛行機でいい。200kmならば新幹線で十分だ。運転疲労もコストもインフラ側の方が有利だ。
マガジンXでは、近年のモデルチェンジ数が激減している為なのか?結構自動車そのもの以外の記事も目立つ。政治関連、警察関連、自動車業界の裏話など。通常の週刊紙よりもえぐられた題材もある。
雑誌編集者が大人(青年から老人化?)になったのだと感じる。
外車寄りなCG(カーグラフィック)紙やTVなども国産車に対してはどこか冷めた評価をする傾向だ。だから意見として参考になる。しかし、現代では、EUも韓国車も日本車もそれほど極端な差がないとも感じる。
その枠組みの優劣よりも、単一の車種により随分差があると感じ、外車はいいとか言う神話はもう10年以上前の錯覚だと思う。日本車がEU市場へ、日本車としてではなく、OEM供給されラインナップされている姿を見るともう、日本車の設計上、なんらEUと変わらない。そして多少好みの違いでの調整で十分販売に耐える車作りができているんだと思う。
しかし、EU向けOEMは日本では売れていない。不思議な現象だと思う。
日本市場はまだまだCMと提灯な記事が繁栄され、左右されるのだろうか?
意味不明な芸能人を歴史の偉人だと吹き出しを付けるだけのCMだったり、お買い得だったり、補助金・補助金と一発芸なCMだ。自動車の商品としての優劣を尺度を持った説明など一切やらない。
すべて企業イメージ広告だ。海外出張した際には日本的CMはほとんどない。食品や日用品ではあるが、あれだけ高額な製品には、もっと高級感あるCMが流れる。そんな所も日本の売り方や自動車の価値を歪めていると思う。こんな市場に、今後起りうるだろうと想像するのは、韓国製、東南アジア製、インド、中国、ブラジルなどの輸入車がTPPで激安な自動車が押し寄せてくるだろう。そうなった時には、どのような差別化を図るのだろう?すでに、タイヤやバッテリーなど、部品単位での輸入が激安と共に上陸している。最初は価格から一抹の不安はあるが、利用して見ると、何ら問題ない。それどころか性能が日本製品よりも上回っている?とも感じられる。日本のP社のバッテリーの25%で購入できる韓国製。性能は規格されているので当然なんら問題などない。
日本で日本製品よりも海外製品の方が安価で性能は変わらないとわかった場合、とーぜん日本メーカーは疲弊していくだろう。いつまでも本当の実力よりも低いのに、CMやら提灯記事で販売している方法を繰り返していたら、TPP開国は日本にとって自動車メーカーが有利とされているのが、反対に撃沈する可能性もある。
そしてそれを正してくれる真実を言えるのはマガジンXなのかも知れない。
20年以上ポリシーもった雑誌を毎月欠かさず発刊しているマガジンXへ拍手を送りたい。