三菱自動車ワークスが3年ぶりに動き出した。
業績不信や日本市場低迷、ネッドカー撤退など三菱自動車には暗い話題が続いた。
大震災後もEV需要は先行しているメーカーには挑戦と新たな開拓でしかなく、経営アップにつながるほどの起爆材にはなっていない。
今後、モーター駆動を主体としたハイブリッドや発電を行う燃料電池へと進化させていく上でも、基本の電気自動車性能はしっかり開発して行かなければならない。
そんな中、レースにEVを出すという。
i-MiEV Evolutionだ。
軽規格のアイを乗せたフォーミュラカーのような車。
もうそれはアイをベースとは呼べない。
ただ、このi-MiEV Evolutionは、あくまでアイの量産部品を利用したモーターや制御をベースとしている点だ。
つまり、外形などアイだろうがどうでもいい。それよりもアイの採用している量産部品の改良を施し、レースに出すと言う点が重要だ。
ヒルクライムと言う急傾斜を駆け上がるエンジンにも車体にも非常に負荷が掛るレースだ。
スズキ自動車のモンスター田島などが有名である。
三菱がこのレースで電気自動車の特徴である低速域での大トルクを生かし、最高速よりも大トルクが必要とされているヒルクライムレースでその優位性をアッピールしようと考えている。
そして、過酷なヒルクライムレースに耐えることで、モーターの劣化や各制御装置の耐久性も試せるだろう。
これは非常に重要なテストだ。
広告宣伝と耐久性アッピール、そして高負荷時の耐久実験という3つの目的を達成できる。
さらに、4つ目として技術者としてレースはやはり胸躍ることだろう。モチベーションが上がる。そして開発意欲や耐久性能、改良方向も漫然とテストコースで試すよりもレースと言う公式なフィールドで行う方がやりがいがある。
様々な記事を読んでみると開発期間は半年程度であったらしい。
量産EVの研究開発が十分済んでいるせいか?あまりに速いと感じる。
自動車レースなどは、過酷なパリダカなどで他社にない耐久性試験経験などがあるためなのか?
i-MiEV Evolutionは量産アイのモーターを改良し3つ搭載していると言う。
3つのモーターを搭載し4輪駆動としている。
1つのモーターはフロント駆動を行い、リアは2つのモーターのようだ。
リアの2つはヨーコントロールされるのだろうか?気になる。もしヨーコントロールするのなら今後この技術は、量産化が期待できる。その耐久性試験とも言えるのかもしれない。
アイは軽自動車であるが、最小限の機構で自動車構成されている。もし、ランサークラスで3モーター化されればEVのEvolutionもアイと共有化した部品(モーター)で実現可能だろう。
そして三菱に欠かせない4WD化だ。
4WDの無い三菱は、三菱ではないと言っても過言じゃない。
1モーターで駆動するフロントのモーターは、エンジンと同様にドライブシャフトで駆動させ従来の自動車と同様な機構で利用するのだろうか?
いずれにしても80kwにチューンアップされたモーターを3つと言うことは、300PSのEV車である。
そしてエネルギー回生も3つのモーターで行えば、効率も上がる。
このシステムはアイ用ではなく、今後の三菱電気自動車のプロトタイプと思いたい。
300PSもあればランサーEvolutionと呼んでいいスペックだ。